マイボトルで未来を潤す

大阪・関西万博では、会場内に無料のマイボトル洗浄機と給水機が設置されています。

「マイボトル洗浄機」とは、来場者が持参したマイボトル（再利用可能な水筒やタンブラー）をその場で簡単に洗浄・すすぎができる自動の機械です。使い捨てペットボトルの使用を減らし、プラスチックごみの発生を抑えることを目的としています。暑い日でも清潔な状態でマイボトルを再利用できるようにするというメリットもあります。

先日、私も大阪万博で設置されていたマイボトル洗浄機を実際に使ってみました。サイドパネルには関西を代表するブランド木材である吉野杉が使われていて、近未来的な機械でありながらも自然を感じることができました。最初はどのように使うのか少し不安でしたが、使い方はとても簡単で、ボトルを機械の中に入れてボタンを押すだけでした。洗浄には1〜2分ほどかかり、その間に自動で中をきれいにしてくれました。洗浄が終わった後に中を確認してみると、ぬめりやにおいがしっかり取れていて、すぐにまた使える状態になっていました。暑い日だったので水分補給のために何度もボトルを使っていたのですが、清潔に保てることに安心感がありました。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に基づき、環境に優しいライフスタイルを実際に体験してもらうことに繋がる取り組みだと感じました。

実際にマイボトル洗浄機を使った方々に使用した感想を伺いました。「とても便利なので駅や、学校、職場にも設置してほしい。」「これからどんどん気温が高くなっていくので、食中毒対策の意味でも安心できる。」「画面にCO2の削減量が表示されるので、環境に貢献している実感があって嬉しい。」「マイボトル洗浄機が多くの言語に対応していてとても使いやすかった。」など、多くの肯定的な感想がありました。

また、「家庭でマイボトルの奥の方まで洗うのが大変なので、家庭用に小型の製品を作ってほしい。」との声や、「茶渋が落ちるほどの洗浄力にしてほしい。」といった今後の品質改良を望む感想もありました。

次に、私は給水機を使いました。万博ではマイボトルの持参が推奨されていて、あちこちに給水スポットがあり、とても便利だと感じました。

給水機の使い方もとても簡単で、ボトルを差し込んでボタンを押すだけで冷たい水が出てきました。昼間は気温が高かったこともあり、冷たい水をすぐに補給できたのは本当にありがたかったです。味もクセがなく、おいしく飲めました。

実際に給水機を使用された方々に使った感想を伺いました。「予想よりかなりキンキンに冷えていておいしい！」「無料で水が飲めるのはありがたい。普段、自動販売機で水を買うときに、ほとんどペットボトル代なのではないかと思うくらい値段が高いと思っていたので、もっとまちなかにも設置してほしい。」等の嬉しい感想が多数ありました。

また、「給水機はプラスチックごみの削減になるので、環境に良いと思う。もっと日常生活にも増えてほしい。その際には給水機が働くための電気を自給できる仕組みにしてほしい。」といったプラスチックごみの削減以外の環境的な配慮について教えてくださった方がいました。

色んな方にお話しを伺っていて、私が特に印象に残ったことは、インドネシアの方が日本語で私に話してくださった、他の国での水（飲料水）についての実情です。それは、インドネシアでは水道水に細菌やウイルスが含まれているリスクがあり、飲めないという内容でした。そして、そのインドネシアの方から私たちユースへのメッセージを授かりました。

「勿論この給水機はプラスチックごみの削減という観点で、無料な点も含めて素晴らしいと思います。しかし、あなた（たち）は浄水器を通さなくても、水道水が安心して飲めることに感謝すべきです。インドネシアの一部の地域では水不足も問題になっています。ぜひ、この技術力を日本国内に留めず、ゆくゆくは世界中の人々の健康のためにも使ってほしい。そしてそれをするのは、あなたのようなユースたちですよ。世界があなたを待っています。」

私はこのことを聞いて、自分が環境的な面にしか目を向けてなかったことを痛感しました。そして、自分なんかが世界の誰かの役に立てるのだろうかと感じていましたが、私に何ができるかどうかではなく、世界のために動かなければならないと思いました。まだ、自分が何をすべきか分かりませんが、今から世界中の社会問題を正しく捉えられるように、自分で行動する決意をしました。

私は今回の給水機・マイボトル洗浄機のインタビューをとおして、無料で洗浄・給水してもらえることだけでなく、環境的にどのような効果があるのかについて目を向ける人が、もっと増えて欲しいと思いました。そのために自分でも啓発活動を行おうと思います。みなさんも給水機・マイボトル洗浄機を使う際には、安全な水を飲めることへの感謝と、プラスチックごみの削減について、ぜひ、考えてみてください！

執筆:
近畿大学附属豊岡高等学校　井川 祥来